2009年07月26日

がとくー:WWCAジュニア王者戦線その2

4月は昨年からリーグ戦を行うようになっていた。
旗揚げ記念で関西圏を巡業するGTQグランプリ。
去年の優勝者はGWAのジャニスクレアだった。
菊池は決勝で敗れた。
今年は負けない!

奇しくも決勝は去年と同じ組み合わせになった。
千春はジャニスに敗北し決勝進出を逃していた。
GTQは小柄な選手が所属しているものの外国人や他団体の参戦選手はそうとは限らない。
ジャニスも菊池にしてみれば大柄な選手だ。
何度も追い込まれた。
SSDを食らって絶体絶命だった。
しかし場外エスケープでリズムを取り戻し、トペコンヒーロで舞う。
零戦キックでフォールを取り、ついに優勝を果たした。
満を持して、菊池はマイクを握った。
「これで、発言権は得られたと思います。千春さん!次のシリーズでWWCAのベルトを返してもらいます!」
場内が歓声で震える。
千春は腕を組んでニヤついている。
社長は大きく腕で丸を作りGOサインをだした。

リベンジを達成する。
そういう筋書きを観客も望んでいたはずだ。
千春の新技「めった打ち」(コンビネーションキック)を食らい、菊池は倒れていた。
千春とて余裕があるわけではない。
だが、その憎憎しい笑みは顔から消えていなかった。
「…クックック、どうした? もう終わりか?」
フライングニールキックも決めた。
零戦キックを放った。
ジャーマンで投げた。
千春はそれでも立ち上がり、
猛虎原爆、タイガードライバー、そして新技を放った。
前回と同じだ。
朦朧とする意識の中で菊池は背中に大きな衝撃を感じ、そしてスリーカウントを奪われた。

控え室には担架で運ばれた。
小川ひかるが付き添っている。
菊池が少しずつ回復し、起き上がると小川が無理しないでと声をかける。
辻香澄、野村つばさなどの後輩が片付けをしていた。
かすかに、廊下の向こう側から声が聞こえた。
乾杯の声。
防衛成功の祝いだろう。
菊池は耐えられなかった。
「ぅ…ぅうわぁぁぁああん!」
突然、子供のように泣き始めた菊池を見て、辻たちも驚いている。
「ちょっと、理宇、みんな見てるし…」
分かっている、そんなこと。
でも耐えられなかった。
悔しい。
社長もそばにいない。
きっと千春のところだ。
ベルトを取ったときはあんなに側で一緒に喜んでくれたのに。
わたしなんてどうでもいいんだ。
ベルトのあるところにしか興味ないんだ。
「わぁぁああん!」
悲しくて悲しくて、どうしようもなかった。

「いってぇ…」
千春は全身が痛かった。
千秋が身体を支えてくれている。
「正直、もうごめんだ、あいつとのシングルは。」
千秋が笑う。
「じゃあ、二人がかりで遊んでやろうぜ」
「本当にそれがいい」
千春は笑った。

社長は菊池のところに慰めに行く気も、千春の祝いに駆けつける気にもなれなかった。
ここまできたかという充実感はあった。
菊池の一強になっていたかもしれないGTQに、強烈なライバルが生まれたのだ。
菊池、村上姉妹、小川の四名がしばらくはGTQを引っ張ってくれるだろう。
今年から安定期だ。
「次の仕掛けを考えないとな…。」
廊下のベンチに座り、一人呟いた。

その後、千春は7月にWWCAにてベルトを防衛。
8月にはソニックキャット相手にベルト防衛したが、
9月に菊池に敗れてベルトを失った。
菊池は千春へのリベンジを達成したことでベルトへの興味を失った。
posted by 343 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | がとくー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

がとくー:WWCAジュニア王者戦線その1

菊池は絶対王者と思われていた。
5月にフリー参戦していたダイナマイト・リナからWWCAジュニアのベルトを奪取すると、
8月の初防衛戦でGTQ二番手の小川ひかるを撃破。
翌月にはWWCAに呼ばれてダイナマイト・リナのリベンジを返り討ちにした。
そしてジュニア頂上決戦といわれたあけて1月の東女のソニックキャットとの一戦。
Sスタープレスを食らいながらもトペコンヒーロ、零戦キックとつなげて、僅差の勝利。
ジュニア最強は決まったかと思われた。

しかし……

村上千春は菊池の背中に強烈なサッカーボールキックを食らわせた。
「オラオラッ!」
「くっ!」
こんなはずではなかった。
それは菊池だけでなく、観客すら思っていた。
序盤からドロップキック、シザーホイップと菊池の華麗な飛び技で試合は彩られていた。
あの一発からだ。
それはいきなりの一発。
タイガースープレックスだった。
菊池はカウント2で返したが、流れは一気に千春に向かった。
「このぉ!」
菊池は立ち上がると千春をロープに振る。
ドンピシャのタイミングだ。
フライングニールキックのタイミングでトペレベルサがで返される。
「ふん!」
千春の余裕も意に返さず、菊池は次の動きに移る。
零戦キック!
「がはっ!」
千春の胸にキックが突き刺さる。
いっきにカバーに入る!
が!
カウント2.9
千春はぎりぎりで肩を上げる。
よろよろと立ち上がる二人。
その時だった。
「千春!」
それは村上千秋の声だった。
千春は手を上げただけだった。
パシッとうけとったのは木刀!
素早く、菊池の腹に突き刺す!
「う、ぐっ!」
腹部への強烈な痛み、飛び交う大ブーイング、霞む視界。
次の衝撃は背中からだった。
「がっ!」
サッカーボールキックからの体固めで菊池はベルトを失った。

控え室で菊池は反省していた。
最後のは反則だ。
しかし、そのまえにも追い込まれていたこと、零戦キックを返されてたことが問題だ。
試合後、社長が千春を祝福していた。
菊池は知っている。
社長は入団したときから千春に目をかけていた。
日々特訓させてきた。
それは千春がサボり性だったからというのは嘘ではない。
だが、共有時間は多かっただろう。
情は移るものだ。
社長は自分にだって優しいが、しかし…。
小川がどうしたの?だいじょうぶ?と声をかけてくれる。
菊池は笑顔で交わすが、耐え切れなくなりその場を去る。
シャワールームに入ると、菊池は押し殺した声で、泣いた。
許さない、絶対。
posted by 343 at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | がとくー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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